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長野地方裁判所 平成4年(わ)137号 判決

本店所在地

長野県上伊那郡宮田村二六八九番地

法人の名称

株式会社浦野紙器(代表者代表取締役 浦野勇)

本籍

長野県上伊那郡宮田村三一一七番地

住居

同郡宮田村三二六九番地の二

会社役員

浦野勇

昭和六年二月一七日生

事件名

法人税法違反被告事件(被告人両名)

検察官

佐藤孝明

主文

被告人株式会社浦野紙器を罰金二五〇〇万円に、被告人浦野勇を懲役一年にそれぞれ処する。

被告人浦野勇に対し、この裁判の確定した日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社浦野紙器(以下、「被告会社」という)は、長野県上伊那郡宮田村二六八九番地に本店を置き、紙器製品一式製造販売及び金属精密部品製造販売等を目的とする会社であり、被告人浦野勇は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、同被告人は被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空仕入を計上し、取得した機械の品名を詐称して仕入に計上する等の不正な方法により所得を秘匿したうえ

第一  昭和六三年一一月一日から平成元年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億四九六五万二四三六円であったにもかかわらず、平成元年一一月三〇日、長野県伊那市大字伊那三五四五番地の一所轄伊那税務署において、同税務署長に対し、所得金額が七一七四万一八一八円であり、これに対する法人税額が二九〇〇万八六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額六一七二万八〇〇〇円と右申告税額との差額三二七一万九四〇〇円を免れ

第二  平成元年一〇月一日から平成二年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二億一九七二万九五八〇円であったにもかかわらず、平成二年一一月三〇日、前記伊那税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一億五〇六三万三六四八円であり、これに対する法人税額が五九一七万九八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額八六八一万七五〇〇円と右申告税額との差額二七六三万七七〇〇円を免れ

第三  平成二年一〇月一日から平成三年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二億五五六四万四〇三八円であったにもかかわらず、平成三年一二月二日、前記伊那税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一億五一一二万八〇四四円であり、これに対する法人税額が五五三五万三一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額九四五四万六六〇〇円と右申告税額との差額三九一九万三五〇〇円を免れ

たものである。

(証拠)

判示の全事実につき

一  被告人の検察官調書

一  林良雄、浦野千壽子及び一瀬真の各検察官調書

一  回答書

一  期首商品製品棚卸高調査書、期首材料棚卸高調査書、期首仕掛品棚卸高調査書、材料仕入高調査書、工場消耗品費調査書、減価償却費調査書、期末商品製品棚卸高調査書、期末材料棚卸高調査書、期末仕掛品棚卸高調査書、雑収入調査書、事業税認定損調査書、その他所得調査書

一  答申書

判示冒頭事実につき

一  登記簿謄本

判示第一及び第三の各事実につき

一  修繕費(販売費及び一般管理費)調査書

判示第一の事実につき

一  運賃(製造原価)調査書

(法令の適用)

被告会社につき

罰条 法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項

併合罪の処理 刑法四五条前段、四八条二項

被告人浦野勇につき

罰条 法人税法一五九条一項

刑種の選択 いずれも懲役刑

併合罪の処理 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重)

刑の執行猶予 刑法二五条一項

(裁判官 仲宗根一郎)

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